研究概要 |
1.ミゾリビンとHSP60について(J Biol Chem274:35147-35151,1999):ミゾリビンが分子シャペロンHSP60に強く結合すること、ミゾリビン分子内のNH_2グループの構造がHSP60との結合に関与することを示した。ミゾリビンがHSP60のシャペロン活性を抑制することを変性酵素の再修復能を測定する系を用いて示した。ミゾリビンの免疫抑制作用機序の一つにHSP60のシャペロン活性の抑制があるものと考えられた。 2.ミゾリビンと14-3-3蛋白について(Biochem Biophys Res Commun 274:87-92,2000):ミゾリビンが分子シャペロン14-3-3蛋白と結合して構造を変化させることを示した。14-3-3蛋白は活性型グルココルチコイドレセプター(GR)に作用して転写能を増強させるので、ミゾリビンがこの系に及ぼす影響について検討した。その結果、ミゾリビンは14-3-3蛋白のGRへの結合能を高め、GRの転写活性能を増強させた。ミゾリビンの免疫抑制作用機序の一つとして、分子シャペロン14-3-3蛋白を介するGR転写活性増強作用があるものと考えられた。 3.14-3-3蛋白のグルココルチコイドレセプター(GR)転写能活性化機構について(MolEndocrinl1 15:501-511,2001):ミゾリビンと結合する14-3-3蛋白の機能について、GR転写能活性化機構の系で検討を加えた。14-3-3蛋白はGRの負の調節因子であるRIP140と相互作用してその核内移行を抑え、結果としてGRの転写活性可能を高めることを示した。さらに、14-3-3蛋白はGR以外の核内レセプターやRIP140以外の転写調節因子にも結合することを明らかにし、ミゾリビンの細胞内標的である分子シャペロン14-3-3蛋白が多岐にわたる細胞内情報伝達系に関与することを示唆した。
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