研究課題/領域番号 |
11671032
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
成田 一衛 新潟大学, 医学部・附属病院, 講師 (20272817)
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研究分担者 |
上野 光博 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (90260546)
西 慎一 新潟大学, 医学部・附属病院, 助教授 (70251808)
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キーワード | IgA腎症 / 遺伝子多型 / 高血圧 / アンジオテンシンノーゲン / Polymeric immunoglobulin receptor / Fcα receptor / α-Adducin / IFN-γ |
研究概要 |
IgA腎症におけるIgA分子の異常に関する研究は既に多くの報告がなされているが、いまだ結論は得られていない。また、免疫グロブリンA Fcレセプター(FcαR)やasialoglycoprotein receptor(AGPR)に関する基礎的研究は行われたが、ヒトIgA腎症でこれらの分子が病的意義を持つかどうかは不明である。私たちは多数例の腎生検組織像が明らかな症例からDNA抽出し、IgA分子の産生・代謝に関わる遺伝子の多型をスクリーニングした。IgA腎症約170例を含む約500症例を解析し、その結果、polymeric immunoglobulin receptorをコードする遺伝子に多型がみられ、IgA腎症症例では健常対照者およびIgA腎症以外の腎炎患者に比較して、有意に遺伝子変異の確率が高いことを発見した。FcαRやAGPRの関与、IgA constant lesionのプロモータ領域などについても解析を進めている。 また、腎炎進行の機序についても、レニンーアンジオテンシン系などの高血圧に関与すると考えられる遺伝子や、TGF-βやMCP-1などの炎症のメディエータの遺伝子の多型との関連を解析した。その結果、アンジオテンシノーゲン遺伝子のプロモーター領域の多型が、IgA腎症の腎機能予後に影響することが明らかとなった。 間質障害に重要なメディエータであるインターフェロンγ(IFNγ)の作用を遺伝子導入によって抑制する試みを行った。すなわち、培養メサンギウム細胞に、IFNγのシグナル伝達系に重要なSTAT1a(signal transdu cers and activators of transcription 1a)変異体を遺伝子導入することによって、インターフェロン刺激によるシグナル伝達を抑制できることを報告した。これは腎炎に対する有効な遺伝子治療の可能性を示唆するものであり、今後さらにin vivoでの遺伝子治療に応用し、種々の実験腎炎に対する治療効果を解析する必要がある。
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