研究概要 |
前年度までに、私たちはプロスタノイド受容体欠損マウスにおける食塩感受性の血圧変化および急性腎不全モデルの虚血再灌流を用いた検討を行った。本年度も新規ノックアウトマウスの供給が不可能であったため、前年度までの追加実験と、ヒトの糸球体疾患患者での尿中プロスタノイド産物の検討を行った。マウスによる検討では虚血再潅流によりIP, TP欠損マウスともにコントロールのワイルドタイプ(WT)マウスと比較して、病理組織学的検討において腎の糸球体、尿細管間質に有意な変化を認めなかった。また機能的にもIP, TPノックアウトマウスはWTと有意な差を示さなかった。これは従来の急性腎不全においてTP受容体の関与を示唆する、TP阻害薬を用いた成績と異なる結果であった。これらの結果は、Clinical and Experimental Nephrologyに掲載予定である。またこのことから、種差によるプロスタノイドの関与の相違が示唆されたため、これを検討するために、急性腎不全を含む種々の腎臓病患者の尿中のプロスタノイド代謝産物を測定した(結果解析中)。
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