研究概要 |
本年度は主として伸展刺激からTGF-bの遺伝子発現への細胞内情報伝達機構の検討を進めた。 (1)培養細胞:通常のSieving法によりラットの腎メサンギウム細胞の培養系を作成し、継代してパッセージ5^〜10のものを実験に使用した。上記細胞を当教室に設置済みの培養細胞伸縮装置(フレクサーセル:FLX-SYSTEM)を用い私たちが発表した方法(JBC 269:17911,1994)で培養した。Northern blotによるTGF-b1遺伝子発現の解析によりメサンギウム細胞のTGF-b、コラーゲンの遺伝子発現は増加したが、TGF-b系の抑制性遺伝子Smad6の遺伝子発現が減少することが見出された。これは通常のTGF-b発現系にみられるnegative feedbackとは異なる現象であり、メサンギウムの硬化の進展機序を考察する上で興味深い現象と考えられ、現在この細胞内シグナル、他のTGF-bスーパーファミリーとの相互関係について検討中である。
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