研究課題/領域番号 |
11671042
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
加藤 哲夫 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70194834)
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研究分担者 |
旭 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60274966)
浅野 健一郎 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20315659)
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キーワード | TGF-b / Smad / メサンギウム細胞 / collagen / Fibronectine |
研究概要 |
前年度までに、私たちはSmadの遺伝子発現とそのリン酸化の解析システムを用いて、抑制性Smadの遺伝子発現が伸展刺激下では伸展強度依存性、かつ伸展時間依存性に減少することを見出し、これは通常の静的培養条件下で見られるTGF-bによるSmad発現の機構と異なることを報告した。本年度はさらに伸展刺激下ではメサンギウム細胞は時間依存性に内因性TGF-betaの発現増加を介してCollagen type I, Fibronectineなどの細胞外器質遺伝子を増加させるのに対して、静的培養条件下での外因性TGF-betaの連続投与に対しても抑制性Smadの発現増加によるNegative Feedbackにより、細胞外基質遺伝子の発現は一時増加した後に抑制されることを見出した。さらにSmad1およびSmad2のリン酸化は伸展刺激下で増加していることから、細胞外基質遺伝子の発現増加にはSmadを介した細胞内シグナルの関与が強く示唆された。種々のチロシンキナーゼ阻害薬、セリン・スレオニンキナーゼ阻害薬を用いた検討をおこなったところMAPキナーゼ阻害薬PD98059、U0126により伸展刺激による抑制性Smadの遺伝子発現の減少効果が抑制された(すなわち伸展刺激による細胞外基質の遺伝子発現が増強された)。これらの成績は、抑制性Smadの発現が、機械的刺激によるMAPキナーゼの活性により調節されていることを示唆する所見と考えられ、慢性糸球体疾患の病態生理を考えるうえで興味深い。
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