申請の時点でラット腎によりクローニングした共輸送体(CCC6)と、ヒト脳よりクローニングした共輸送体(CCC7)と、カリウムークロライド共輸送体の新規メンバー(CCC8)をラット腎よりクローニングしていた。途中CCC8は他の2つのグループによってKCC3として報告されてしまった(J Biol Chem 274:10661ー10667、1999;J Biol Chem274:16355ー16362、1999)。そこでCCC7とCCC6を中心に研究を進めてきた。比較する目的でCCC7のラット版を腎臓よりクローニングした。ヒトとラットのCCC7はアミノ酸で93%の相同性があった。なおヒトのCCC7はクロモソーム7q22、1にマップされた。ラットCCC7をアフリカツメカエル卵に発現させたがCl、Na、Rbの有意のとりこみをみとめなかった。一方CCC6には2つのスプライトバリアントが存在することがあきらかになり、みじかいクローン(2つの膜貫通領域を欠損する)はアフリカツメカエル卵に発現させてもRbのとりこみを増強しなかった。またCCC6の合成部分ペプチドに対する抗体を作成したが抗体値は十分上昇したものの、組織では検出できていない。今後CHO細胞やCOS細胞に一過性に発現させてNa、Cl、Rbの輸送を検討するとともに、生理的役割をあきらかにする目的でCCC6のスプライスバリアント、CCC7それぞれに対する抗体を作成し、組織染色によってその局在をあきらかにするとともに、動物を脱水にすることにより、CCC6、CCC7それぞれのメッセンジャーRNAとタンパクが変化するかどうかをノーザンブロットとウエスタンブロットであきらかにする予定である。
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