研究概要 |
1)CD11b/CD18陽性細胞(vehicle細胞)による腎間質への目的遺伝子導入の可能性 Green fluorescent protein (GFP)トランスジェニックマウス(Okabe M,et al.FEBS Letters407:313,1997)の大腿骨、骨盤骨より採取した骨髄細胞をIL-3、IL-6およびstem cell factor存在下で培養しCD11b/CD18陽性細胞(vehicle細胞)を生成した。このGFP陽性vehicle細胞を片側尿管を結紮(UUO)した同系マウスに移植した結果、ICAM-1分子の発現するUUO処理した腎間質内にGFPを発現する細胞が観察された。一方、ICAM-1陰性の非処置腎間質内にはGFP陽性vehicle細胞は認められなかった。この結果より、骨髄由来CD11b/CD18陽性vichele細胞を用いICAM-1分子が発現している腎間質炎症部位へ特異的に目的遺伝子を導入する可能性が明らかとなった。 2)アデノウイルスベクターを用いたvehicle細胞へのInterleukin-1 receptor antagonist (IL-1ra)遺伝子導入の試み DBA/2マウス骨髄細胞をIL-3,IL-6およびstem cell factor存在下で培養し、7日後にアデノウイルスベクター(AdexcAmIL-1RA)を用いIL-1ra遺伝子をex vivoでCD11b/CD18陽性vehicle細胞に導入した。IL-1ra遺伝子を導入されたvehicle細胞が高濃度のIL-1ra蛋白を安定に産生していることをWestern blot法にて確認した。われわれは、この方法によりvehicle細胞が7カ月以上に渡り安定した遺伝子蛋白の供給が可能であることを確認済みである。現在、IL-1ra遺伝子を導入したvehicle細胞を実験モデルに投与しその効果を検討している。
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