骨髄由来CD11b陽性vehicle cellを用いた腎間質炎症部位特異的な遺伝子導入の試み 【目的】ICAM-1のligandであるCD11b陽性骨髄由来vehicle cellを用い間質炎症部位特異的に目的遺伝子を導入しうるか間質線維化モデルである片側尿管結紮(UUO)マウスにて検討した。 【方法】UUOマウスの尿管結紮腎間質ではIL-1およびIL-1受容体の発現に伴い間質内ICAM-1の発現とマクロファージ浸潤を認めた。そこでDBA/2マウス骨髄よりCD11b陽性細胞(vehicle cell)を作成し、アデノウイルスを用いマウスIL-1 receptor antagonist(IL-1ra)およびglucocererosidase(GC)遺伝子をex vivoで導入し、同マウスに片側尿管結紮24時間後IL-1ra^+(IL-1ra投与群)あるいはGC^+ vehicle cell(GC投与群)を尾静脈より投与し、6日後に腎組織を検討した。 【結果】IL-1ra投与群では尿管結紮腎間質内のICAM-1陽性部位にCD11b^+IL-1ra^+細胞を認めたが、ICAM-1陰性の対側非結紮腎ではCD11b^+IL-1ra^+細胞を認めなかった。IL-1ra投与群ではGC投与群に比し尿管結紮腎間質内におけるマクロファージ浸潤、ICAM-1発現が有意に減少し、さらにα-smooth muscle actinの間質内発現の有意な減少を認めた(P<0.01)。 【結語】骨髄由来CD11b陽性vehicle cellを用い腎間質炎症部位特異的に機能的な目的遺伝子を導入しうることが示され、間質病変に対する遺伝子治療の可能性が示唆された。
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