研究概要 |
糖尿病性腎症の発症に対するレニン・アンギオテンシン系の関与を明らかにすることを目的とし,本年度は培養メサンギウム細胞を用いた検討を行った. Spraegu-Dawleyラットより単離した糸球体を用い,メサンギウム細胞の初代培養系を確立,正常糖濃度,(5.6mM)あるいは高糖濃度(30.0mM)で48時間培養後,アンギオテンシンII(ang II,1 nM-1 μM)で30秒から5分間刺激,プロテインキナーゼC(PKC)活性およびmitogen-activated protein kinase(MAPK)活性を,それぞれin situ phosphorylation法およびリン酸化MAPKを特異的に認識するポリクローナル抗体を用いたイッムノブロット法によって解析した. 高糖濃度培養条件下あるいはang II単独では,PKC,MAPK活性を増加させたが,高糖濃度培養後にang IIで刺激した場合、両キナーゼ活性に相加的な増加はみられなかった. 糖尿病動物の腎組織において,ang IIのレセプターがdown-regulateされるとの報告があり,糖尿病性腎症の発症に対するレニン・アンギオテンシン系の関与を明らかにするには,更に詳細な検討が必要である.
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