研究概要 |
<目的>糸球体高血圧状態において、メサンギウム細胞(MC)は圧力負荷を受けていると考えられる。既に申請者は、圧力負荷によりprotein kinaseCやtyrosine kinaseを介してMCが増殖し、これを降圧利尿ペプチドであるアドレノメジュリン(AM)が抑制することを報告した(Am.J.Physiol.277:F105,1999;Nephron83:352,1999;平成9,10年度科学研究費実績報告済)。さらに圧力負荷によりMC内にMAPキナーゼを介してMCP-1が発現することを報告した(論文投稿中;平成11年度科学研究費実績報告済)。今回、圧力負荷の培養ラットMCにおけるMCP-1発現に及ぼすAMの効果について検討した。<方法>開発済の圧力負荷装置を用い、MC(5〜9代)に圧を加え以下の検討を行った。1、圧力負荷によるMCP-1mRNAの発現に対するAMの濃度依存性(RT-PCR法)2、圧力負荷によるMCP-1mRNAの発現に対するforskolin及びcAMPの効果(RT-PCR法)3、圧負荷による培養上清中のMCP-1蛋白に及ぼすAMの効果(ELISAキット)4、圧負荷によるMAPキナーゼに及ぼすAMの効果(Western blotting)<結果>1、圧力負荷(80mmHg,10分)によるMCP-1mRNA発現をAMは濃度依存性に抑制した。2、圧力負荷によるMCP-1mRNA発現をforskolin及びcAMPは濃度依存性に抑制した。3、AM存在下で圧負荷による培養上清中のMCP-1蛋白は有意に抑制された。4、AM存在下で圧負荷によるMAPキナーゼ活性は有意に抑制された。<考察>AMは圧力負荷によるMCP-1の発現を抑制し、その機序にAキナーゼとMAPキナーゼとのcross-talkの存在が示唆された。
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