25位水酸化ビタミンD-1α位水酸化酵素遺伝子(1α位水酸化酵素遺伝子)がクローニングされ、発現レベルの検討が可能になったが、プロモーター活性の研究は十分ではない。申請者らは、ヒトの1α位水酸化酵素遺伝子のプロモーター部位をBAC libraryを用いてクローニングし、種々の長さの転写開始点上流フラグメントのもつ活性を検討し、転写開始点15kbp内にプロモーター活性が存在することを確認した。転写活性は腎由来細胞に導入したときに高活性を示した。活性型ビタミンDの添加により、1α位水酸化酵素遺伝子プロモーター活性は25-50%程度低下したが、最短プロモーターにおいてもある程度の転写活性抑制が見られたことから、転写活性抑制を担う特定部位の同定には至らなかった。マウス胎仔腎器官培養系を用いて、ネフロンの形成に伴う1α位水酸化酵素遺伝子の発現を検討した。15.5日齢の胎仔腎を用いた検討では、1α位水酸化酵素の発現は、検討した10^<-6>M-10^<-4>M forskolin添加、添加後3時間-24時間の範囲内で用量依存的、時間依存的に誘導された。1α位水酸化酵素の発現時期としては、胎齢135日以降の腎において、無刺激条件下での発現とforskolinによる発現誘導が認められた。1α位水酸化酵素は、ビタミンD代謝物の測定より推定されていた時期より早期である腎器官形成の初期より発現するものと考えられた。
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