研究概要 |
本研究の初年度は、マウス胎仔腎に対してwhole mount in situ hybridization(ISH)法を用い、25位水酸化ビタミンDの代謝酵素である1α位水酸化酵素遺伝子と24位水酸化酵素遺伝子の発現部位を検討した。その結果、1α位水酸化酵素の発現は腎内側部を中心とした尿細管上皮に認められ、24位水酸化酵素は、腎表層部を中心とした尿細管上皮に発現していた。今年度は、両酵素の発現部位の相違をより直接的に検出するために、2重染色プローブを用いたISH法による検討を行った。また、尿細管における24位水酸化ビタミンDの取り込みに必須の役割をするメガリンの発現を合わせて検討した。15.5日齢の胎仔腎において、10^<-4>M forskolin,10^<-8>M 1,25(OH)_2D_3を同時添加し、2重染色プローブを用いたwhole mount ISH法を行った。その結果、1α位水酸化酵素の発現は腎内側部を中心とした尿細管上皮に認められ、24位水酸化酵素は、腎表層部を中心とした尿細管上皮に発現していた。両酵素を同時に発現する細胞は認められなかった。また、メガリンの発現をRT-PCRにより検討したところ、ビタミンD代謝酵素の発現より早く、胎齢11.5日より発現が認められた。whole mount ISH法によりメガリンの発現部位は1α位水酸化酵素に類似していた。メガリンは、腎発生初期より発現していることおよびその発現部位が1α位水酸化酵素に類似していることより、胎生期においてもビタミンD代謝に重要な働きをしているものと考えられた。24位水酸化酵素の発現部位はメガリンの発現部位とは異なることから、1,25(OH)_2D_3により発現誘導された24位水酸化酵素は、25位水酸化ビタミンDよりも1,25(OH)_2D_3を基質として水酸基の付加を行うことが示唆された。
|