研究概要 |
一酸化窒素(NO,nitric oxide)と新生児低酸素性虚血性脳症発生との関わりをさらに明らかにするために、誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS,inducible nitric oxide synthase)の役割を検討した。これまで我々は、Reoxygenation中のiNOSにより産生されているNOが神経障害の主要な部分を占めていること、選択的iNOS阻害剤が脳虚血負荷後の脳内NO産生を抑制し脳障害を軽減させることを明らかにしてきた。今回は、新生児低酸素性虚血性脳障害ラットモデルにおけるiNOS mRNAの脳内での発現を検討した。 Riceらの方法を用いて低酸素性虚血性脳障害モデルを作成した。生後7日令のウイスターラット仔に対して、エーテル麻酔下に片側頚動脈を二重結紮し切断した。8%酸素2.5時間の低酸素負荷を行った。低酸素負荷開始後0、1(低酸素負荷中)、2.5(負荷終了直後)、6、24、72、96時間にiNOS mRNAを分離し、半定量的に測定した。一方、iNOS阻害剤(Aminoguanidine)を投与し、脳内NOを持続的に抑制したグループでも同様にiNOS mRNAを半定量的に測定した。 低酸素負荷開始72時間後、96時間後には、頚動脈結紮側、非結紮側ともにiNOS mRNAの発現を認めた。iNOS阻害剤は、iNOS mRNAの発現を抑制する傾向があった。
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