Riceらの方法を用いて低酸素性虚血性脳障害の新生児モデルを作成した。生後7日令のウイスターラット仔に対して、エーテル麻酔下に片側頚動脈を二重結紮し切断した。そして、8%酸素2.5時間の低酸素負荷を行った。 低酸素負荷1時間より8時間毎に計9回誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)阻害剤を投与し、脳内一酸化窒素(NO)代謝産物をNOアナライザーにて測定した。また脳障害の程度を72時間後に組織学的に検討し、大脳皮質、線状体についてそれぞれ全面積に対する梗塞面積の割合を算出した。iNOS阻害剤頻回投与により、低酸素負荷終了後の長時間(数日)にわたる脳内一酸化窒素代謝産物の上昇が持続的に抑制された。選択的iNOS阻害剤頻回投与群ではコントロール群に比し、大脳皮質、線状体とも梗塞面積が有意に軽減した。 上記モデルにおいて、低酸素負荷開始後0、1.5(低酸素負荷中)、2.5(負荷終了直後)、6、24、72、96時間に脳内iNOSmRNAを分離し、半定量的に測定した。一方、iNOS阻害剤を投与し、脳内NOを持続的に抑制したグループでも同様にiNOSmRNAを半定量的に測定した。低酸素負荷開始72時間後、96時間後には、頚動脈結紮側、非結紮側ともにiNOSmRNAの発現を認めた。iNOS阻害剤は、iNOSmRNAの発現を抑制する傾向があった。
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