研究課題/領域番号 |
11671069
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
高田 哲 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (10216658)
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研究分担者 |
常石 秀市 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (10271040)
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キーワード | 新生児 / 低酸素性虚血性脳症 / 低体温療法 / caspase / apoptosis / caspase inhibitor(BAF) |
研究概要 |
細胞内proteaseの一種であるcaspaseは、apoptosisの最終段階を制御する重要な働きを持っている。平成11年度には、低酸素性虚血(HIE)負荷をおこなった新生仔ラットに対しcaspase inhibitor(BAF)投与と低体温療法を併用し、生化学的、組織学的手法を用いてその効果を検討した。 【方法】日齢7のSDラットを(A)室温37℃下でのHIE負荷群、(B)室温29℃下でのHIE負荷群、(C)室温29℃下でのHIE負荷+BAF投与群、(D)無処置群の4群に分けた。BAF投与群では、BAF(Boc-aspartyl(OMe)-fluoromethylketone)をHIE負荷前に右側脳室へ注入した。 【結果】1)低酸素性虚血負荷がcaspase-3活性に及ぼす影響 海馬中のcaspase-3活性はHIE負荷後に急速に上昇し16時間後に最高値となった。 2)BAF投与と低体温療法がcaspase-3活性の上昇に及ぼす効果 HIE負荷16時間後のcaspase-3活性は、A群6.48±1.71Unit/mg proteinに対してB群2.62±0.18Unit/mg proteinと上昇が抑制され、C群では2.05±0.38Unit/mg proteinとさらに低値を示した。 3)BAF投与と低体温療法の効果に関する組織学的検討 日齢14の海馬CA1領域における神経細胞数を顕微鏡下で算定した。無処置(D)群の細胞数を100%とすると、A群63%に比べてB群78%、C群94%とBAF投与と低体温療法の併用により、明らかな細胞保護作用が認められた。 【今後の課題】低体温による脳障害予防効果がapoptosisの抑制と関連している可能性が示唆され、今後その機序の解明に向けて研究を展開していく予定である。
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