研究課題/領域番号 |
11671070
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
磯部 健一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (00159815)
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研究分担者 |
日下 隆 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (50274288)
近藤 昌敏 香川医科大学, 医学部, 助手 (60234952)
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キーワード | 新生児 / 近赤外分光測定装置 / 脳内へモグロビン濃度 / 脳内ヘモグロビン酸素飽和度 / 脳血流 / インドシアニングリーン |
研究概要 |
我々が開発した脳内ヘモグロビンの絶対値(濃度)の算出可能な新しい解析法(baseによる光路長補正)を用いて、昨年度の研究において正期産児の出生後早期の生理的変化として脳循環と脳内酸素化のダイナミックな変化が起きることを明らかにした。今年度は、26例の成熟児について脳内へモグロビン酸素飽和度を測定し、分娩様式の脳内酸素化状態に及ぼす影響について検討した。また脳血流の測定は、左側実質内出血と左側脳梗塞の2症例に行い、頭蓋内病変を有しない新生児と比較検討した。 1.分娩様式の脳内酸素化状態に及ぼす影響 正期産児で蘇生を必要としなかった経膣分娩群20例と予定帝王切開群(帝切群)6例の計26例について脳内ヘモグロビン酸素飽和度(SbO2)を測定した。また同時に右上肢にパルスオキシメーターを装着し動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定した。SpO2は両群で有意差を認めなかった。経膣分娩群のSbO2は、出生後2分の29±17%から急激に増加し、8.5分に68±6%となり以後一定であった(15分:66±7%)。一方、帝切群のSbO2は、生後8.5分までは経膣分娩群と同様に上昇したが、以後経時的に減少し15分で57±5%となり、両群間に有意差が認められた。経膣分娩群ではカテコールアミンがより多く分泌され末梢血管が収縮し脳血流が増加するためと考えられる。 2.インドシアニングリーンを用いた脳血流の測定 頭蓋内病変を有した2例では、病変部位の脳血流が、各々5.8、9.0ml/100g/minと反対側の10.4、24.5ml/l00g/minに比し著しく減少していた。尚、頭蓋内病変の無い15例の脳血流は、14.5±3.1ml/100g/minであり。従来の報告と同様であり、ベッドサイドで簡便に測定できることが証明された。 3.低血糖症における検討は、研究期間中に症例が無かったのでできなかった。
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