昨年に引き続き成熟免を用い、気管切開後温生食水を用いて肺洗浄を行いサーファクタント欠乏肺のモデルを作成し、このモデルを従来の人工換気法(CMV)にて換気を行うことにより惹起される肺損傷につき検討した。以前の検討から、同モデルをCMVにて換気するとPaO_2は低下するが、高頻度振動換気(HFO)にて換気するとPaO_2は4時間高値を維持し、CMVに比べ換気終了後の肺洗浄液中の多核白血球(PMN)数が少なく、洗浄液中のTNFαが低値であることからCMVによる肺損傷に顆粒球、TNFαが関与している可能性が示されている。このTNFαが肺胞内に浸潤したPMNにより産生される可能性につき検討した。 基礎実験として、兎の末梢血よりPMNを分離し、LPSにて刺激したところTNFαの産生が認められた。また、抗TNFα抗体を用い蛍光免疫染色を行ったところ、PMNにTNFαが認められたため、PMNがTNFαを産生することが示された。 次にサーファクタント欠乏肺のモデルにて4時問の人工換気(CMV)後の肺洗浄液中の細胞(99%がPMN)を抗TNFα抗体を用い蛍光免疫染色を行ったところ、細胞内に蛍光が認められTNFαの産生を確認した。 以上よりCMVにて換気を行うことにより惹起される肺損傷でTNFαは肺胞内に浸潤したPMNからも産生されていると考えた。 また、本年度には肺損傷の少ない換気法であるHFOでの換気中の流量、一回換気量の測定など基礎的な実験も行った。
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