核受容体の転写活性化にはDNA結合およびリガンド結合が必要であるという点に着目し、DNA上に結合したRXR/TRヘテロニ量体をプローブとしてリガンド存在下に相互作用する因子の生化学的な単離を試み、ポリADP-リボースポリメラーゼ(PARP)の部分cDNAをクローニングした。PARPは核内に存在し、本酵素の司るポリADPリボシレーションは、リン酸化、アセチル化とならんで核内蛋白の修飾作用のひとつである。PARPは、これまで主にDNA修復に関与していると考えられてきたが、クロマチン構造蛋白のひとつであるヒストンやHMG蛋白もその基質として明らかにされてきており、これらをリボシル化しクロマチン構造を変化させ、転写活性を調節していることが判明した。さらに、内因性PARPの受容体への結合を抑制する目的で単離した部分cDNAを核内で大量発現させると甲状腺ホルモンによるリガンド依存性転写活性化が消失することを発見した。
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