研究課題/領域番号 |
11671085
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (00211871)
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研究分担者 |
長屋 敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (80262913)
妹尾 久雄 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (40135380)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | Pax-8 / 甲状腺ペルオキシダーゼ / レドックス制御 / PDTC / BCS / 銅イオン |
研究概要 |
近年、酸化還元(レドックス)制御が細胞機能の調節に重要な役割を果たしていることが報告されている。本研究では、甲状腺特異的転写因子Pax-8と甲状腺細胞機能のレドックス制御について検討した。 (1)Pax-8のレドックス制御:Pax-8はサイログロブリン(TG)や甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)遺伝子のプロモーターに結合する。我々はこれまでにPax-8のDNA結合ドメインに存在する2つのCys(Cys-45とCys-57)がレドックス制御に関わることが明らかにした。本研究では、細胞内の酸化還元酵素Ref-1とthioredoxin(TRX)がPax-8の転写活性にどの様な影響を及ぼすかトランスフェクション法を用いて検討した。Ref-1とTRXはPax-8の転写活性化能を増強したが、Cys-45とCys-57をSerに置換した変異Pax-8では、その効果は認められず、Ref-1とTRXが2つのCysを介してPax-8のDNA結合活性を増強し、転写活性を促進することが示唆された。(2)甲状腺細胞の分化機能のレドックス制御:抗酸化剤PDTC(pyrrolidine dithiocarbamate)とNAC(N-acetyl-L-cysteine)が甲状腺細胞FRTL-5の分化マーカーと増殖に及ぼす影響を検討した。PDTCはTPO、Pax-8 mRNAを有意に減少させ、Pax-8のTPOプロモーターDNAへの結合活性を低下させた。一方、TG、TTF-1 mRNAには変化が無く、GAPDH mRNAは有意に増加した。NACはこれらのマーカーに殆ど影響を及ぼさなかった。また、PDTCは細胞増殖を刺激し、癌抑制蛋白p53のDNA結合活性を減少させた。更に、PDTCは細胞内の銅イオン濃度を有意に増加させ、細胞膜を通過しない1価銅イオンのキレーター(BCS)は上述のPDTCの甲状腺に対する作用を完全に抑制した。こうした結果から、甲状腺細胞の分化マーカーの発現や増殖に1価銅イオンが関わるレドックス制御が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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