研究課題/領域番号 |
11671099
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
芝崎 保 日本医科大学, 医学部, 教授 (00147399)
|
研究分担者 |
大畠 久幸 日本医科大学, 医学部, 助手 (80256924)
新井 桂子 日本医科大学, 医学部, 講師 (60277118)
|
キーワード | corticotropin-releasing factor / CRF受容体 / CRF受容体拮抗薬 / ストレス / テイルピンチ / ウロコルチン / 視床下部 / 摂食行動 |
研究概要 |
CRF(corticotropin-releasing factor、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH))は視床下部を始めとし脳内に広く分布し、ストレス下での下垂体からのACTH分泌に関与するのみならず、種々のストレス反応の成立機序に関与している。しかしながら脳各部位でのCRFとCRF受容体サブタイプの機能に関しては未知な点が多い。幾つかのストレスが摂食行動を抑制し、その機序にCRFが関与している。一方、テイルピンチストレスは摂食量を増すことが知られているが、その摂食促進機序へのCRFの関与については不明であるため、この点を検討した。1分間のテイルピンチをラットにかけるとその後30分間の摂食量は有意に増加し、これはCRF1型受容体の選択的拮抗薬により阻止された。2ngのCRFの脳室内投与は摂食量を増し、逆に1μgのCRF投与は従来の報告通りに摂食量を減らした。したがって、テイルピンチによる摂食促進には軽度のCRFの分泌促進が生じ、それにより摂食行動が惹起されると推測される。さらにこの機序にはドーパミン受容体やオピオイドも関与していることを明かにした。次に、CRFファミリーに属しCRF2型受容体のリガンドと考えられているウロコルチンの摂食調節機序への関与について検討した。ウロコルチンのラット視床下部腹内側核への投与は摂食行動を抑制し、この作用はCRF1型受容体拮抗薬による影響を受けなかった。抗ウロコルチン家兎γ-グロブリンの両側腹内側核への投与は、摂食量を増加させた。したがって、視床下部腹内側核のウロコルチンは摂食行動に抑制的に作用し、この機序へのCRF1型受容体の関与はないと考えられる。条件性恐怖ストレスをラットにかけると室傍核内のノルアドレナリン分泌は増加し、その変化はCRF1型受容体拮抗薬により阻止された。よって、条件性恐怖ストレス時の視床下部室傍核内のノルアドレナリンの分泌にCRF1型受容体が関与していると考えられる。
|