研究概要 |
糖質コルチコイド受容体は、リガンド依存性の転写制御因子であり、細胞外からの情報をリガンドとの結合によって核に伝達し遺伝情報に変換する機能を有している。近年、糖質コルチコイド受容体による転写制御には、転写基礎因子のみならずその他の転写因子及び転写介助因子により高度な調節機構の働いていることが明らかとなりつつある。本研究では、これまで我々が独自にクローニングしてきた糖質コルチコイド感受性制御因子(GMEB-1,GMEB-2)と、糖質コルチコイド受容体及び共役因子の1つであるサイクリックAMP反応性因子結合蛋白(DBP)との蛋白相互作用について検討を行った。方法は、HeLa細胞を用いた2ハイブリッドシステムを構築して検討した。まず、VP16の転写活性亢進ドメインとGMEB-1又はGMEB-2の癒合蛋白発現プラスミドを作成した。また、糖質コルチコイド受容体またはCBPとGAL4のDNA結合ドメインの癒合蛋白発現プラスミドを作成した。それらのプラスミドを各々細胞にトランスフェクションし、GAL4結合部位を持ったルシフェラーゼのレポーター遺伝子活性を測定した。その結果、GMEB-1並びにGMEB-2は、共役因子であるDBPとも蛋白相互作用のあることが判明してきた。以上の成績より、新たな転写因子であるGMEBは、糖質コルチコイド受容体並びに共役因子と作用して糖質コルチコイドによる転写感受性を制御しているものと考えられた。
|