GeneChipを用いたチアゾリジン感受性遺伝子の検索 2型糖尿病治療薬であるインスリン抵抗性改善薬チアゾリジンの作用機構を明らかにするため、肝細胞遺伝子発現に対する薬剤の効果を調べることにした。計画当初はサブトラクションによる遺伝子のクローニングを考えていたが、最近DNAチップを用いたより能率的な検討方法が利用可能になったことより、我々もGeneChipを用いた検討に切り替えた。 マウス初代培養肝細胞をロジグリタゾンと新規チアゾリジンであるMCC-555を5及び25μMの濃度で24時間作用させ、コントロールの細胞と共にmRNAを生成した。各々のmRNAを蛍光ラベルしプローブを作成、GeneChipとのハイブリダイズ後にシグナル強度を比較し、チアゾリジンにより発現の変化する遺伝子を探した。 その結果、発現の亢進する遺伝子としてTC20874、TC21818、TC25018、TC26141、TC30984(いずれもTIGRに登録してあるアクセス番号)等の20余りの遺伝子につき発現の亢進を認めた。逆に発現の低下する遺伝子としてはTC14248、TC14302、TC14653、TC14842、TC15141等100余りのものが見つかった。 このようにして見いだした遺伝子について現在、RT-PCRを用いて各遺伝子が薬剤により変化することを確認すると共に、登録データを検索して遺伝子の正体を突き止めているところである。 ヒト2型糖尿病患者におけるチアゾリジンのサイトカイン産生及び単球分化に対する効果 チアゾリジンが単球分化に影響を与えるとの報告がなされ、注目されたが実際に患者に投与されたときの効果についての報告はない。我々は2型糖尿病患者の血糖改善を目的としてチアゾリジンを投与した際、単球分化を表面マーカーを指標に、サイトカインレベルと共に測定した。まだ十分な症例数は集まっていないが、概ね単球分化を抑制する傾向である。
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