研究概要 |
インスリンの抗脂肪分解作用の機序としてinsulin-sensitive phosphodiesterase(PDE3B)の活性化によるcAMPの低下が考えられている。申請者らはcell free系でのPDEキナーゼアッセイ系を確立しインスリンにより活性化されるPDEキナーゼはPI3-キナーゼの下流にある未知のキナーゼであることを明らかにした。そこで本研究ではPI3-キナーゼの直下にあると考えられるAkt/PKB及びatypical PKCをアデノウイルス系を用いて脂肪細胞に遺伝子導入し、PDEキナーゼ活性化機構におけるこれらの役割を明らかにすることを目的とした。本年度は神戸大学医学部第2内科小川博士らにより提供された組換えアデノウイルス(constitutively active PKB,dominant negative PKB,constitutively active PKCλ,dominant negative PKCλ,constitutively active PI3-K,dominant negative PI3-K)及びコントロールウイルスをそれぞれ293細胞に感染させ高力価ウイルス液を調整した。ついで3T3L1脂肪細胞に上記の種々のウイルスを感染させ、PKBまたはPKCまたはPI3-K蛋白の発現をウェスタンブロットにより確認し最適のウイルス力価を算定した。現在これらの組み換えウイルスを3T3L1脂肪細胞に感染させ、インスリンとともにインキュベートし、PDE活性、PDEの燐酸化、PDEキナーゼ等を解析しPKBまたはPKCλまたはPI3-KがPDEキナーゼ活性化系に関与するかどうか解析を進めるところである。
|