研究概要 |
ホスホジエステラーゼ3B(PDE)は脂肪細胞に特異的に発現し、インスリンの抗脂肪分解作用を媒介する。脂肪細胞におけるPDEの活性化増強は、血中遊離脂肪酸(FFA)の低下を介してインスリン抵抗性を改善する事が予想される。申請者らは、本年度インスリン抵抗性肥満糖尿病のKKAyマウスにおいて、低下した脂肪細胞のPDEの発現並びにインスリンによる活性化が、インスリン抵抗性改善薬により増加し、FFAの低下と共にインスリン抵抗性が改善する事を見出した(1)。また、PDEの発現の増加は、in vitroでは線維芽細胞が脂肪細胞へ分化する際に認められることをRT-PCRの系を確立し確認した。更に、脂肪細胞の分化によるPDE遺伝子の転写活性化因子の同定の第一歩として、クローニングしたマウスPDEの5'領域について3kbまでのシーケンスを終了した。次いで、preliminaryに転写開始点を決定し、それに基づいてプロモーター活性のルシフェラーゼレポーターコンストラクトを現在作成中である。これが終了次第、分化前後のプロモーター活性の変化を確認し、分化によるPDEの転写活性化に重要なDNAエレメントを同定し、次にそれらに結合する転写因子を同定する予定である。 文献 1)Tang Y.,Osawa,H.,Onuma,H.,et al.Improvement in insulin resistance and the restoration of reduced PDE3B gene expression by pioglitazone in adipose tissue of abese,diabetic KKAy mouse.Diabetes 48:1830,1999.
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