研究概要 |
平成11年度の研究はヒューマンアApoC1トランスジェニックマウス(Tg)と、アポC3ノックアウトマウス(null)、ApoEnullの交配を行った。さらにApoC1Tg、C3-null、E-nullのリポタンパク組成と代謝実験をおこなった。ApoC1Tg、C3-nullのVLDL-TG生成速度はその野生型(WT)と変化なかったがApoEnullではVLDL-TG生成速度はWTの半分であった。我々は^<35>S-アミノ酸カクテルをTR-WR1339と共に静注してSDS-PAGEにてApoB-100,48を分離し、その放射能を測定することによりアポB生成速度を測定することに成功したが、EnullではVLDL-ApoB生成速度はTGと異なり減少しないことを見い出した。現在ApoC1Tg、C3-nullで同様の実験を行っている。VLDL異化については平成12年度に行う予定である。我々はリポ蛋白中のApoC1を高感度ELISAにて測定することに成功した。さらにCIII,Eの高感度ELISAを確立した。これを用いて糖尿病性腎症で高値となるレムナントの成因(板上太郎、平野勉ら:糖尿病42:439-446,1999)にApoC1が関与するか否かを検討した。VLDLのApoC1は糖尿病性腎症で高値となり、C2、C3と独立してVLDL、IDLと有意に相関することを発見した。この成績は12回腎と脂質代謝研究会(京都、2月5日)で発表し、第43回日本糖尿病学会でも発表予定である。今後はLDLセレプター欠損と家族性高コレステロール患者(FH)のApoC1を測定してFHの高レムナント、高TGにApoC1が関与する可能性について検討することにしている。
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