研究課題
実験1.インスリン産生亢進がレプチン作用発現に関与するかどうかの検討ラット単離膵島の高ブドウ糖濃度+レプチン添加(2nM)培養を1、6、12、24、48時間行いブドウ糖刺激インスリン分泌反応、プロインスリンmRNA発現量(RT-PCR法)、インスリン含量を検討した。結果:mRNA発現量は、高ブドウ糖培養により増加傾向を認めたが有意差をなかった。またインスリン含量は低下したが、レプチン添加はこの含量低下を抑制する傾向を示した。これにより高ブドウ糖濃度下でレプチンが「糖不応性」を抑制するのは、レプチンが高ブドウ糖によるインスリン過分泌阻害作用によるものであって、レプチンがインスリン産生を促進することによるものではないことが示唆された。実験2.慢性レプチン暴露単離膵島の細胞内遊離カルシウムイオン濃度([Ca2+]i)動態インスリン分泌には[Ca2+]i上昇と振動が重要であり、また「糖不応性」惹起にも培養液中Ca2+濃度、および細胞内へのCa2+流入が関与している。ラットの単離膵島、もしく単一β細胞レベルでの[Ca2+]iを検討した。結果:レプチンは高ブドウ糖慢性暴露によっておこる[Ca2+]iオッシレーション消失を一部防止した。また高ブドウ糖による[Ca2+]i濃度上昇作用も有意に減弱させた。このことよりレプチンは[Ca2+]i動態障害を抑制することが示唆された。実験2.IRS-1欠損マウス単離膵島の慢性レプチン暴露肥満とインスリン抵抗性は密接な関係がある。このためインスリン抵抗性を持つインスリン受容体基質-1(IRS-1)欠損マウスの単離膵島へのレプチン作用を検討した。結果:IRS-1欠損マウス単離膵島はブドウ糖刺激時の反応性低下を示したがレプチンはこの刺激時反応性を一部回復し、2型糖尿病でのインスリン分泌能力低下の経時変化にレプチンが関与することが示唆された。
すべて その他
すべて 文献書誌 (3件)