研究課題/領域番号 |
11671140
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 哲 北海道大学, 医学部, 助教授 (30215454)
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研究分担者 |
杉浦 博 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (30292022)
加藤 紘之 北海道大学, 医学部, 教授 (80002369)
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キーワード | CEAプロモーター / 膵癌 / 癌遺伝子治療 / N116Y / ベクター |
研究概要 |
RAS抑制変異体N116Yは、v-H-rasのコドンの116番目をアスパラギンからチロシンに置換して得られた変異体であり、研究代表者らはこのN116YがRAS蛋白に対してdominant negativeな抑制効果を有し、RAS以降のシグナル伝達を阻害、癌形質を喪失させ腫瘍細胞の増殖を抑制することを、一連の癌細胞株を用いて明らかにしてきた。大腸癌においてはK-ras変異が50%以上に証明されており、活性化RASが癌細胞の増殖、転移に重要な役割を果たしていることが明らかにされている。今回「活性化RASの機能阻害により大腸癌細胞の増殖あるいは転移を抑制しうる」との仮説を立て、大腸癌肝転移巣に対する有力な補助療法としてN116Yを用いた遺伝子治療の可能性を探ることを目的に研究を開始した。本研究の手法の要として、ほとんどの肝転移大腸癌細胞がCEAを産生していることに着目し、正常組織に影響を及ぼさずに特異的な腫瘍抑制効果を得ることを目的としてCEAプロモーターウイルスベクターを作成し使用した。 1.アデノウイルスベクター(Ad CMV N116Y)を用い、in vitroでの大腸癌細胞株に対する増殖抑制効果を確認した。同時に、CEAプロモーターを有したN116Yウイルスベクター(Ad CEA N116Y)を用いた同様の検討で、CEAを発現している腫瘍組織においてのみN116Yが特異的に発現される事を確認した。 2.N116Yの腫瘍抑制効果を正常組織への影響のないより特異的なものとするために、細胞膜への結合を阻止できるN116YのC-末端欠損体を作成する予定で、完成寸前の段階である。 3.N116Yによる大腸癌細胞周期への影響、アポトーシス誘導の有無、RASに対して抑制作用を発揮する際の標的物質の解析を行った。
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