研究課題/領域番号 |
11671140
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
近藤 哲 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30215454)
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研究分担者 |
加藤 紘之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80002369)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 大腸癌 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / CEAプロモーター / 肝転移モデル / Adenovirus vector / Pancreatic cancer |
研究概要 |
我々はまずヒト癌細胞株を用いたヌードマウス肝転移モデル確立を行った。1x10E6個の癌細胞をヌードマウスの脾臓より経門脈的に移植した。当初は大腸癌での肝転移モデルの確立に難渋したため、代用として膵癌細胞株を利用した。 次に我々はサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよび癌胎児抗原(CEA)プロモーターによって遺伝子発現される非増殖型N116Y発現アデノウイルス(Ad CMV-N116Y、Ad CEA-N116Y)を開発した。Ras抑制変異体N116Y遺伝子は癌遺伝子であるv-H-rasのGTP結合部位であるコドン116をアスパラギンからチロシンに置換して得られた。コントロールベクターとしてβガラクトシダーゼ(LacZ)をCEAプロモーターによって発現するAd CEA-LacZを開発した。 癌肝転移モデルにおける転移巣の増殖に対するAd CEA-N116Yの治療効果を検討した。Ad CEA-N116Yを癌細胞の経脾的移植後5日目に投与することによって、いかなる副作用も認めず、選択的に癌転移巣の数を減じる効果が確認された。Ad CEA-LacZ投与マウスにおいて、癌肝転移巣でのみLacZの発現が認められ、正常の肝細胞での発現はみられなかった。以上のことから、N116Y遺伝子をCEAプロモーターを用いてヒト癌細胞で特異的に発現させ、その増殖を抑制することのできるアデノウイルスベクターを用いることによって、ヒト癌肝転移に対する遺伝子治療の臨床応用の可能性が示唆された。
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