研究課題/領域番号 |
11671141
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
真船 直樹 北海道大学, 医学部, 助手 (70241304)
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研究分担者 |
藤堂 省 北海道大学, 医学部, 教授 (60136463)
小林 邦彦 北海道大学, 医学部, 教授 (60091451)
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キーワード | 肝アルギナーゼ / 自己抗体 / 生体部分肝移植 / 自己免疫性肝炎 |
研究概要 |
生体部分肝移植はすでに国内に定着し、今後、脳死肝移植、心臓死肝移植へと拡大していくものと思われる。この様な状況の中で、生体部分肝移植recipientの術後の経過を反映する血清臨床マーカーとして抗肝アルギナーゼ自己抗体の測定が本研究代表者らによって提唱された。そして良好な経過の成人症例では移植後一時的に上昇するが時間と共に正常化するのに対し、恢復が遷延するケースや死亡例では、肝移植後の抗肝アルギナーゼ自己抗体が異常低値、または高値のまま推移することがわかった。すなわち、本自己抗体の推移で肝移植の経過を評価できる見通しが付いた。そこで、当大学の生体部分肝移植症例についても同様の検索をより詳細におこなった。その結果、本自己抗体が肝移植の予後を判断する指標になるのみならず、免疫抑制剤投与を加減する判断材料になるという実用的な知見が得られるに至り、実際の肝移植例に応用中でありこれにつき現在論文を執筆中である。また、肝移植例以外にa)炎症性肝疾患 b)自己免疫性疾患 c)肝以外の各種疾患を中心に血中抗肝アルギナーゼ自己抗体の測定をおこなった結果、慢性肝疾患で本抗体の抗体価が高く、自己免疫性肝疾患では極めて高値を示す事実が明らかにされ、自己免疫性肝疾患の有用なマーカーとして国際誌に第一報を報告することができた。現在、酵素免疫測定法(ELIZA法)による抗肝アルギナーゼ自己抗体の検索を生体部分肝移植の日常の臨床検査法として確立することを目指して研究継続中である。
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