研究分担者 |
砂村 眞琴 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (10201584)
福重 真一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90192723)
堀井 明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40249983)
渋谷 和彦 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70260429)
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研究概要 |
膵がんでは染色体1p,6q,9p,12q,17p,18qにヘテロ接合性の喪失(LOH)が高頻度に認められる。これらLOHの領域には機能喪失性の異常を来して膵がんの発生、進展に関与しているがん抑制遺伝子が存在する可能性が高い。本研究はこれら欠失領域を含む巨大DNA断片を用意し、それを欠失を示すがん細胞に導入し、腫瘍抑制効果を確認した上で発現遺伝子の探索から欠失領域に存在するがん抑制遺伝子を見い出すことを目的とした。欠失領域を含む巨大DNA断片を見い出すために酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)のマッピングを行った。6q,12q,上の欠失領域を完全にカバーするYAC,BACコンティグを完成させた。6q21上の最小欠失領域は500-kbのYACに含まれ、BAC3個によりカバーされるが、さらに周辺の領域を含む、BAC10個よりなる物理的距離1-Mb相当のBACコンティグを完成させた。本領域にはexpressed sequence tag(EST)が42個含まれることを明らかにした。このコンティグはWeb上http://www-alis.tokyo.jst.go.jp/HGS/plmap.pl?PIID=14で公開している。12q21上の欠失領域は1.5-MbのYAC2個、平均140-kbのBAC21個でカバーされる。同部位において新規のsequence tagged sites(STS)を40個同定し、ESTを10個マッピングした。欠失領域をカバーするクローンから新規遺伝子を幾つか単離し解析した。また、移入する膵がん細胞の遺伝的性質を知るために既知の腫瘍関連遺伝子について異常の有無を解析した。18qの欠失が比較的早期の膵腫瘍病変で認められることを明らかにした。18q複数のクローンをとってその表現型の解析、移入染色体のマッピング、候補がん抑制遺伝子の解析を行った。18番染色体を移入することにより18番染色体上及びそれに関連すると考えられる遺伝子群の発現回復が認められ、in vitroでの増殖抑制効果、in vivoでの造腫瘍性抑制効果が認められた。
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