研究概要 |
[目的]cyclic strainは細胞内情報伝達に関与する酵素活性を上昇させることが報告されている。caveolinは細胞内情報伝達に重要な役割を果たしていると報告されている。しかし、cyclic strain下でのcaveolin活性の報告はない。本実験の目的は牛大動脈内皮細胞(BAEC)にcyclic strainを負荷した時にcaveolinがチロシンリン酸化されるか或いは活性化されるかを検討し、さらにSrcと結合したcaveolinの蛋白濃度変化を検討することである。またcaveolin活性阻害物質であるfilipinがcyclic strain下におけるBAECの増殖を抑制するかを検討することである。[方法]1.BAECに1分間60サイクルで150mmHgの陰圧をかけcyclic strainを2,5,10,30分、4時間負荷した。2.filipin0.2μg/mlを加えたBAECとそうでないBAECにcyclic strain負荷を1,3,5日間かけ2群間の細胞数を比較した。cyclic strain負荷をかけたBAECから蛋白を抽出した。蛋白を電気泳動にかけた後、Western blot法によりcaveolin蛋白濃度を比較検討した。同様の蛋白を抗caveolin抗体で免疫沈降した後、Western blot法によりcaveolinのチロシンリン酸化能を比較検討した。同様の蛋白を抗caveolin抗体で免疫沈降した後、抗Src抗体でWestern blot法を行った。[結果]cyclic strain負荷においてコントロールを含めて負荷時間に拘わらずcaveolinの蛋白濃度は一定であり、caveolinのチロシンリン酸化は認められなかった。Src抗体と結合したcaveolinの蛋白濃度は検体により濃度が濃く出る時間帯が異なり、測定時間における有意差を見いだし得なかった。filipinはBAECの増殖を抑制しなかった。[まとめ]cyclic strainによって引き起こされるBAECの変化にcaveolinは関与していないと思われる。
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