ドナー由来造血幹細胞移植によるドナー特異的免疫寛容誘導を目指し、ラットを用いてアロ骨髄細胞移入による造血系細胞の生着について検討した。Allogeneicドナーの骨髄細胞を分離して、骨髄細胞浮遊液を作成し、各種の造血系サイトカインを添加して、ドナータイプの造血系細胞の生着を試みた。無処置のレシピェントにallogeneicドナーの骨髄細胞を移入したところ、種々のサイトカインの添加を行なってもドナー由来造血系細胞の生着は得られなかった。何らかのレシピェント前処置が必要であると考え、骨髄細胞移入前にcyclophosphamideによるレシピェント前処置を行なった。High doseであればcyclophosphamide単独の前処置のみでallogeneicドナーの造血系細胞を生着させることができた。しかし、これらのレシピエントでは致死的なGVHD反応がみられた。造血系サイトカインを添加したドナー骨髄細胞浮遊液を移入したところ、medium doseのcyclophosphamide前処置にてドナー由来造血系細胞の生着が得られ、GVHD反応も回避できた。ドナー由来造血系細胞が生着してキメラとなったレシピェントに対し、骨髄ドナーと同系の心臓をmicrosurgeryにて異所性に移植したところ、免疫抑制療法なしで生着した(無処置レシピェントに移植したコントロールでは8日以内に拒絶された)。Third partyの心臓を移植すると移植片は拒絶された。以上より、造血系サイトカイン添加骨髄細胞移植によって、GVHDを回1避しつつ、ドナー特異的免疫寛容を誘導しうることが示された。
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