研究概要 |
1.Cytosine deaminase(CD)発現adenovirus vectorの作製とin vitroにおける5FCの腫瘍増殖抑制効果の検討 (1)CEA promoterをCD geneとともにcosmid vector(pAdex1cW)に組み込んだpAxCEACDを作製した.さらにCre発現unit(pAxAwNCre)にCEA promoterを組み込んだpAxCEANCreを作製した.またCD geneをpAxCALNLwのSwaI siteにcloningした.COS-TPC法を用いて,それぞれの発現ウイルスAxCEACD,AxCEANCre,AxCALNLCDを作製した. (2)In vitroにて胃癌や大腸癌のCEA産生株(MKN-45,LoVo)とCEA非産生株(HeLa,MKN-1)にCre/loxP systemを用いたAxCEANCreとAxCALNLCDをそれぞれ30,20moiで2重感染させ、5-FCの腫瘍増殖抑制効果(IC50)をMTT assayで検討し,AxCEACD感染(50moi)と比較した結果,AxCEANCreとAxCALNLCDの2重感染では,CEA産生株において,AxCEACD単独感染と比較し,有意に低く,5-FCの感受性は13倍に増強された.CEA非産生株については,細胞障害活性はほとんど認めず,CEApromoterの特異性は完全に維持された. 2.胃癌同所移植モデルにおけるin vivo治療実験 胃癌腫瘍塊(MKN45)をヌードマウスの胃壁に縫着し,胃癌同所移植モデルを作成した.i)Mock,ii)AxCEACD,iii)AxCEANCre+AxCALNLCD(3:2)を,4日目より3日間1.0x10^9pfu,i.p.投与し,その翌日とり5-FCを500mg/kg/day,10日間i.p.投与した.胃癌移植4週後に屠殺して移植した腫瘍体積,重量を測定した結果,iii)群では腫瘍増殖が著しく抑制され,他群と有意差を認めた.さらに,生存期間はiii)群が,他群より著明に延長した(p<0.01).
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