動物実験では、MODSの誘因のうち敗血症および出血性ショックモデル、エンドトキシン投与モデルにおいて広範なリンパ組織にapoptosisが誘導されるが、ヒトにおいても、高度侵襲を伴う外科手術では敗血症におけると同様に末梢血リンパ球のapoptosis細胞が増加することが明らかとなった。以上よりヒトの敗血症においても末梢血ないしリンパ組織のapoptosisが誘導されているとの仮説をたて、これを検証することを目的とした。さらに最近、ヒト敗血症性ショックに対して、エンドトキシン吸着療法が広く施行されているが、エンドトキシンの吸着によりapoptosisが抑制されるか否かを検討した。 敗血症症例において術前、術後の末梢血リンパ球数、サブセットを経時的に追跡測定した。また摘出標本からリンパ組織を採取し、DNA電気泳動、TUNEL染色、FACS等の方法を用いてapoptosis assayを施行したところ、敗血症患者においてもリンパ球のapoptosisが増加していることが示唆された。グラム陰性菌に起因した敗血症症例においてPMX(エンドトキシン吸着)を行った症例でも同様に、術前後のリンパ球apoptososを検討しているが、現在までのデータではPMXのよりリンパ球apoptosis抑制効果は確認されていない。
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