研究課題/領域番号 |
11671198
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
本田 雅之 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (40330972)
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研究分担者 |
安田 光宏 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (90269043)
犬塚 貞明 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40258596)
是永 大輔 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90170414)
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キーワード | 細胞周期 / Cyclin / リンパ節転移 / G2 / M checkpoint / 胃癌 / 細胞増殖活性 |
研究概要 |
【はじめに】G1サイクリンは正の細胞周期調節因子であり、癌化や浸潤に関連しているが、G2/Mを制御するcyclin Bの発現に関する報告は少ない。平成11年度の研究で大腸癌組織を用いてcyclin B(C-B)の発現を分析し、C-B発現とリンパ節転移に負の相関があることを明らかにした。本年度は胃癌組織におけるC-Bの発現の臨床的意義について検討した。 【対象と方法】切除胃癌61例の免疫染色を行った。C-BはG2期には細胞質に存在しM期に核内に移行するので、細胞質が染色される症例(G2期)を陽性と判定した。 【結果】C-B陽性例は61例中32例(52.5%)であり、平均年齢は陰性例ほうが陽性例より有意に低かった(p=0.04)。C-B陽性率を病理学的因子別に分析すると、肉眼型では0型が50.0%、限局型(1-2型)が84.6%と高いが、浸潤型(3-4型)では38.5%と低かった(p=0.02)。組織型別では、分化型の69.0%に比して低分化型では35.5%と低率であった(p=0.005)。リンパ節転移(pN)とリンパ管侵襲(ly)をみると、C-B陽性率はpN0-1よりもpN2-4で有意に低く(p=0.03)、ly0-1よりly2-3で低率であった(p=0.04)。進行度別にみると、Stage I-IIにおけるC-B陽性率は69.2%と高いが、Stage III-IVでは40.0%であった(p=0.02)。Logistic判別分析の結果、組織型がcyclin B発現に影響を及ぼす有意な因子と判定された。【まとめ】胃癌組織においてC-B陰性例では若年者、低分化腺癌、浸潤型が多く、pN2-4、stage III-IVなど高度進行例が多い傾向にあった。これらの知見は大腸癌に一致しており、C-Bは何らかの機序を介して癌の浸潤・転移の抑制に関与していることが示唆された。
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