研究課題/領域番号 |
11671199
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研究機関 | 国立小児病院(小児医療研究センター) |
研究代表者 |
四宮 貴久 国立小児病院, 小児医療研究センター・共同利用室, 室長 (30196414)
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研究分担者 |
奥山 虎之 国立小児病院, 小児医療研究センター・先天異常研究部・奇形研究室, 室長 (40177192)
李 小康 国立小児病院, 小児医療研究センター・実験外科・生体工学研究部, 研究員
雨宮 浩 国立小児病院, 小児医療研究センター, センター長 (80009563)
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キーワード | アデノウイルス・ベクター / 遺伝子治療 / CrmA / 異種移植 / Fas-ligand / PK15 / 肝 |
研究概要 |
(1)組み換えアデノウイルスベクターをCOS-TPC法を用いて作製した。アデノウイルスベクターには現在幅広い細胞種にて最も強力に遺伝子発現を制御するプロモーターの一つであるCAGプロモーターを用い、その下流にCrmA免疫反応の制御に深く関わっている遺伝子を組み込み、Cre/loxP系アデノウイルスベクターを作製した。(2)CrmAアデノウイルスベクターを用い、ラット、マウス、ハムスター等動物に導入し、CrmAと融合したT7Tag蛋白に対する抗体を用いて、免疫染色により動物肝臓で発現が最も高いことを確認した。また、アデノウイルス自身に対する免疫系による排除もCrmAの発現によって、抑制されることが分かった。(3)マウスの肝細胞を分離し、CrmAアデノウイルスベクターの導入実験を行った。またブタ腎由来上皮細胞PK15にもCrmAアデノウイルスベクターを導入し、発現を確認した。(4)異種移植おける細胞傷害性のモデルとして、ヒトFasLを発現するKFL74.18細胞の上清中に存在するsoluble FasL(sFasL)と、ブタ腎臓由来の細胞であるPK15細胞を用いて検討を行った。PK15細胞はCre/loxP系によりCrmAを発現するアデノウイルスベクター(AxCALNLCrmA)とCre組み換え酵素を発現するAxCANCreとの併用感染によりほぼ100%の細胞でCrmAを発現した。sFasLの添加によりPK15はapoptosisを生じるが、CrmAを発現するPK15のapoptosisは有意に抑制された。さらにCrmA発現量依存的なCaspase8及び3の活性化の阻害が観察された。この様にPK15細胞においてもCrmAはFas介在性のapoptosisを効率よく抑制することが示された。よって以上の結果は、CrmAの発現により異種移植における拒絶反応から移植臓器を防御できる可能性を示している。
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