腫瘍増殖に不可欠な腫瘍血管の誘導を阻害して腫瘍の増殖を抑制する抗体と、殺細胞効果を有する制癌剤との複合体を作製して、その複合体による癌化学療法を行うことで、抗体単独、あるいは、制癌剤単独よりも優れた抗腫瘍効果が得られるとの仮説のもと、臨床における転移性肝癌の治療成績向上を目的に、抗腫瘍血管増殖因子抗体(抗血管内皮増殖因子(VEGF)抗体)と制癌剤(マイトマイシンC(MMC))の複合体を作製して、その抗腫瘍効果増強の有無を検討した。 昨年度は、VEGF-MMC複合体の製剤としての活性を確認し、また、in vitroにおいてVEGF発現細胞(LS174T細胞)に対する増殖抑制(制癌)効果を確認した。 本年度は、in vivoにおける増殖抑制効果の検討を試みた。しかし、LS174T細胞を用いたマウス肝転移の作製が不十分で再現性がなく対照群としても用いることができなかったこと、また、pilot studyにおいてVEGF-MMC複合体の抗腫瘍効果にばらつきが多きすぎることなどから、満足すべき研究結果が得られなかった。 次年度に、上記の諸問題を解決した後、in vivoにおけるVEGF-MMC複合体増殖抑制効果を確認したい。
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