研究分担者 |
大江 麻子 山形大学, 医学部, 医員
平井 一郎 山形大学, 医学部, 助手
布施 明 山形大学, 医学部, 講師 (80199398)
鈴木 明彦 山形大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
【対象と方法】膵癌切除例24症例を対象とし、神経浸潤の程度と組織型,癌間質結合織の多寡,リンパ節転移、累積生存率を検討した.5μ連続切片1072枚作成し浸潤様式を観察した.p53,NCAM,MMP-9,FGF抗体で免疫組織化学染色を行った.【結果】神経浸潤は24例中17例(70.8%)に見られ、ne0:7例,ne1:6例,ne2:9例,ne3:2例.papは3/5例に神経浸潤がなく,wellは2/5例がne0,1例がne1.modは12/41例に認めた.medは3例とも神経浸潤なく,intは8/10例,sciは9/11例に認めた.ne0:7例ともリンパ節転移がなかった.3年生存率はne0:57.1%,ne1:16.7%,ne2以上では生存なし,連続切片で50本の神経束に神経浸潤があった.1)神経浸潤は連続進展が多いが2症例(4神経束)でスキップした.2)同じ神経束で複数カ所でperineural spaceの癌は神経外と交通した.3)神経外腺管は神経周囲に集塊形成しperineural spaceに侵入した.4)神経分岐、融合に沿って線管が進展した.5)perineural spaceから神経束内へ侵入した.6)1つの腺管が2本の神経に浸潤した.7)膵小葉間神経浸潤がスキップした.p53異常発現は24例中18例に見られ、p53.L.I.の平均:33.7%だが,perineural spaceと原発巣で差はなかった.NCAM,MMP-9,FGFとの有意差なし.【結語】神経浸潤は膵癌予後規定因子として重要で,分化度が下がり癌間質結合織量が増すほど増加した。非連続性進展もあり膵周囲の断端が陰性でも遠隔の後腹膜、非癌膵実質に進展している可能性があり、膵周囲の十分な郭清、術中照射の併用が必要と考えられた.高分化で間質結合織の少ない膵癌は神経叢の郭清が縮小可能と考えられた.
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