研究課題/領域番号 |
11671208
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
轟 健 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (70114105)
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研究分担者 |
川本 徹 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30282354)
高田 泰次 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (10272197)
平野 隆 工業技術院, 生命工学研究所, 室長
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キーワード | SOD-DIVEMA / SB209670 / エンドセリン / エンドセリン受容体拮抗ペプチド / 肝微小循環動態 / 白血球膠着 / 肝類洞灌流 |
研究概要 |
[目的]私たちはこれまでSOD-無水マレイン酸共重合体結合体(SOD-DIVEMA)を開発し、肝虚血再灌流障害の防止効果を報告してきた。本研究ではエンドセリン受容体拮抗ペプチドであるSB209670を用いて、虚血後の微小循環動態の変化をSOD-DIVEMAと比較・検討した。SB209670の強力な血管収縮抑制作用はすでに明らかとされており、活性酸素を不活化するSOD-DIVEMAとは異なるメカニズムで虚血再灌流障害を防止することが期待される。[方法]ラットを各群6匹づつ1)対象(虚血なし)、2)SOD-DIVEMA投与、3)SB209670投与、4)生食投与の4群に分けた。開腹後、生体蛍光顕微鏡を用いて肝微小循環動態を観察した。その後20分間の温肝虚血を施した。虚血解除5分前に、2)SOD-DIVEMA(10000U/kg)、3)SB209670(10mg/kg)、4)NaCl(1.0ml)を各群別に全身投与した。対照群では肝虚血以外の操作を施した。虚血解除後2時間にわたり肝微小循環動態を観察し定量的に解析した。[結果]SB209670はSOD-DIVEMAと同様に類洞膠着白血球数を減少させた(再灌流2時間後の類洞膠着白血球数:SOD-DIVEMA群12.3、SB209670群12.0、生食群36.6)。同時に類洞潅流率も改善させた(再灌流2時間後の類洞潅流率:SOD-DIVEMA群95.8、SB209670群92.1、生食群65.5%)。一方で中心静脈内における膠着白血球数はSB209670では抑制されず、生食投与群と同様の傾向で増加した(再灌流2時間後の中心静脈膠着白血球数:SOD-DIVEMA群40.0、SB209670群404、生食群417cells/mm2)。[結語]SB209670は類洞内における虚血後の微小循環障害を軽減させたが、中心静脈内では効果がなかった。血管収縮を抑制するSB209670では、8-10オmと直径の小さい類洞では効果を発揮しても、20-30オmと直径の大きい中心静脈ではその効果を発揮できない可能性がある。今後、SOD-DIVEMAおよびSB209670を投与後の類洞径および中心静脈径の変化を検討し、あわせて肝逸脱酵素レベルの変化についても研究をすすめたい。
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