研究課題/領域番号 |
11671209
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
志村 龍男 群馬大学, 医学部, 助手 (00282393)
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研究分担者 |
浅尾 高行 群馬大学, 医学部, 助教授 (40212469)
桑野 博行 群馬大学, 医学部, 教授 (90186560)
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キーワード | 膵癌 / 可溶性HLAクラスI抗原 / 腫瘍マーカー |
研究概要 |
我々はこれまでに可溶性HLA class I抗原と消化器癌との関連を検討してきた。特に進行胃癌患者では血液中の可溶性HLA class I抗原量が著名に低下しており、癌免疫において重要な役割を担っていると考えられる。本研究では、肝胆膵疾患患者の治療前血清中の可溶性HLA class I抗原量をELISA法により測定した。対象は、膵癌19例、良性胆嚢疾患17例、肝細胞癌51例、胆嚢癌6例、胆管細胞癌6例、健常者22名である。これまでの検討より肝炎ウイルス陽性者では、可溶性HLA class I抗原量が増加しているので肝細胞癌以外でのウイルス陽性者3例(良性胆嚢疾患2例、胆嚢癌1例)を除外して検討すると、正常者1470±95.3ng/ml、膵癌3257±448.8ng/ml、良性胆嚢疾患1732±403.2ng/ml、肝細胞癌1682±400.4ng/ml、胆嚢癌1046±648.9ng/ml、胆管細胞癌1515±659.3ng/mlと有意(P<0.001)に膵癌患者で高値を示した。正常者が2000ng/ml異常とならないことからこれをカットオフ値としCA19-9との関連を検討すると、膵癌患者14例のうち10例が可溶性HLA class I抗原量がカットオフ値を超えるのに対してCA19-9が異常値を示したのは5例のみであった。Sensitivityおよびspecificityをそれぞれ計算すると、88.2%、85.5%となった。膵癌患者における可溶性HLA class I抗原量の増加のメカニズムを検討すべく膵癌細胞株を培養し、その培養上清中の可溶性HLA class I抗原量を測定したが、測定限界以下であり膵癌自体が分泌しているのではないと考えられた。膵癌ではmatrix metalloprotainaseが高発現している症例が多いが、可溶性HLA class I抗原は膜上からmetalloprotainaseにより切り出されるとの報告があり、今後この可能性を検討していく予定である。
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