【目的】家族性大腸腺腫症は発生頻度が稀で症例数が少なかったため家族性大腸腺腫症だけではなく孤発性腺腫および大腸癌も対象とし、1)腺腫の腫瘍径とCyclooxygenase-2(COX2)発現の関係、2)腺腫の異型度とCOX2発現の関係および腺腫内のCOX2発現の局在、3)大腸癌の形態分類とCOX2発現の関係について検討した。【方法】1)腺腫63病変に対し、RT-PCR法にてCox2発現についてRT-PCR法にてCox2 index(Cox2 m-RNA/Cox1 m-RNA)として半定量した。腺腫径は、small≦6mm、6<medium≦12mm、12mm≦largeに分類した。2)腺腫95病変に対しABC法(Mouse Anti-human Cox2抗体)で免疫染色を行った。染色陽性腺管の割合を1(0〜30%)、2(30〜70%)、3(70%以上)、染色強度を0(なし)、1(0と2の中間)、2(強発現)に分類した。3)大腸癌68病変をnon-polypoid cancerとpolypoid cancerに分類し、Cox2発現については1)と同様の方法にで定量した。【結果】1)腫瘍径とCOX2発現の関係は、m-RNAレベルでは腫瘍径が大きいほどCOX2発現が増強していた(P=0.007)。2)免疫染色の結果、腺腫の異型度とCOX2発現は強い相関を示した。また、Cox2の局在は、正常粘膜および間質細胞に比べて優位に腺腫細胞の細胞質に局在し、全体の72.6%が細胞質内に認められた。3)大腸癌の形態では、Cox2はnon-polypoid cancerにおいてpolypoid cancerおよび正常粘膜より優位に高く発現していた(P=0.0002、P<0.0001)。
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