研究概要 |
1.胆嚢癌リンパ節微小転移の臨床的意義: 【目的】胆嚢癌におけるリンパ節微小転移の臨床的意義を解明する。 【方法】根治切除された胆嚢癌63例を対象とした。リンパ節微小転移(以下、微小転移)の定義は、「H&E染色を用いた通常の組織検索では検出されず,CAM5.2を用いた免疫染色により初めて検出可能となるリンパ節転移」とした。郭清リンパ節計1136個から連続切片を作製し、H&E染色、抗サイトケラチン抗体(CAM5.2)を用いた免疫染色により転移を検索した。 【成績】早期癌9例で微小転移は陰性であったが、進行癌(深度ss以上)54例中19例(35%)で微小転移が見られた。単変量解析では、微小転移(P<0.0001)を含め9因子が有意な予後因子であった。H&E染色によるリンパ節転移陰性36例、陽性27例の両群において微小転移は有意な予後因子であった(P=0.0002、P<0.0001)。多変量解析では、微小転移(P=0.0003)、根治切除術式(P=0.0044)が独立予後因子であった。微小転移はly、pn、遠隔転移と関連し、陽性例で遠隔再発が多かった。 【結論】胆嚢癌根治切除例において、微小転移は独立した強い予後因子である。微小転移は悪性度を反映し、systemic diseaseの指標でもある。 2.胆嚢mp癌に対しリンパ節郭清は必要か?: 【目的】胆嚢mp癌に対するリンパ節郭清の有用性を検討する。 【方法】mp癌25例(単純胆摘13例、郭清を伴う根治切除12例)を対象とした。計147個の所属リンパ節から連続切片を作成し、H&E染色、CAM5.2を用いた免疫染色により転移を検索した。 【成績】lyが1例に陽性であったが、v、pnは全例で陰性であった。所属リンパ節に、転移および微小転移はみられなかった。全例の累積10年生存率は87%と良好であり、胆摘群と根治切除群の成績は同等であった(P=0.16)。 【結論】胆嚢mp癌に対するリンパ節郭清の有用性は認められない。
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