研究概要 |
1.<クローニング> PCRを用いたホモロジークローニングにてヒトAQP8・AQP9遺伝子をクローニングし、その染色体地図等を明らかにした。AQP8が小腸・大腸・肝臓、AQP9が肝臓に存在し、それぞれ小腸・大腸の最上皮、肝細胞管腔側に存在することを明らかにした。 2.<ラット大腸亜全摘モデル-残存大腸における水チャネル発現の変動> 【背景】潰瘍性大腸炎や家族性大腸腺腫症に対する大腸大量切除は、術後の著しい下痢を生じるが、時間の経過とともに排便回数は減少する。それは残存腸管のadaptationによるとされているが、その病態生理の解明は十分ではない。一方、これまで消化管における水の移動は細胞間経路と考えられてきたが、水チャネル(AQP)の発見により経細胞経路の存在が提起されている。しかし、消化管における水の吸収分泌への水チャネルの関与は明らかではない。 【目的】大腸大量切除後の消化管における水チャネルの役割を、水チャネル遺伝子の発現変動から検討する。 【対象と方法】WKY雌性ラット6〜8週齢に大腸亜全摘・回腸直腸吻合術を施行し、sham群には回腸単切離再吻合術を行った。術後3・6週目にメタボリックケージにて経口摂取水分量・尿量・便中水分量を測定後犠牲死。小腸・残存大腸・腎臓よりmRNAを抽出し、RNase Protection Assay法にてAQP1,2,3,4,8発現の変動を検討した。 【考察】大腸における水分吸収分泌に水チャネルを介した大腸上皮細胞内経路が関与し、水チャネルの発現増強が大膓亜全摘術後のadaptationに寄与していると考えられた。
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