研究課題/領域番号 |
11671215
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西巻 正 新潟大学, 医学部, 助教授 (70242427)
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研究分担者 |
神田 達夫 新潟大学, 医学部・附属病院, 助手 (80303147)
鈴木 力 新潟大学, 医学部, 教授 (40183420)
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キーワード | 食道癌 / 微小転移 / リンパ節転移 / サイトケラチン / 免疫組織化学 / メッセンジャーRNA / リアルタイムPCR法 |
研究概要 |
本年度においては研究Iとして平成11年度の調査で特定した組織学的リンパ節転移陰性食道扁平上皮癌根治切除37症例のうち、抗サイトケラチン抗体陽性細胞を認めるリンパ節微小転移陽性14症例の臨床病理学的特徴をリンパ節微小転移陰性23症例との比較で明らかにするとともに、研究IIとして食道切除がなされた食道癌患者の血液(末梢血および腫瘍ドレナージ静脈血)、胸管内リンパ液、切除肋骨骨髄中のMicro-tumor cellの有無をサイトケラチンm-RNAの発現の有無で検索した。<研究I>リンパ節微小転移陽性群と陰性群で性、年齢、原発部位、腫瘍分化度、壁深達度、リンパ管侵襲、静脈侵襲の各因子に統計学的有意差は認められなかった。微小転移陽性群では原発巣の局在によらず微小転移リンパ節の分布は広範囲で、9例(64%)が腹部リンパ節に、7例(50%)が縦隔リンパ節に、4例(29%)が頸部リンパ節に微小転移を認めた。<研究II>34症例の食道癌患者から治療前末梢血、術中末梢血、腫瘍ドレナージ血(奇静脈血、左胃静脈血、上大静脈血)、肋骨骨髄血、胸管内リンパ液、術後末梢血を採取し凍結保存後サイトケラチンm-RNAを検出した。対照群として良性疾患患者・健常人9例から末梢血を採取しサイトケラチンm-RNAの測定をおこなった。検体よりm-RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてcDNAを合成、サイトケラチン20特異的ハイブリダイゼーションプローブを用いてリアルタイムPCR法にて測定、同様に測定したGAPDHで補正した。測定にはLight Cyclerを用い、陽性標準として食道癌細胞TE-1を採用した。食道癌患者の術前末梢血でのサイトケラチンm-RNA陽性率は70.8%であった。次年度は研究Iではリンパ節微小転移が食道癌切除後の生存曲線におよぼす影響を検討し、研究IIでは食道切除術前、術中、術後の末梢血、腫瘍ドレナージ血、肋骨骨髄液、胸管リンパ液中のサイトケラチンm-RNA陽性率、および臨床病理学的パラメーターとの相関を明らかにし、本研究の最終総括をおこなう予定である。
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