研究課題/領域番号 |
11671216
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
大村 健二 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30194301)
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研究分担者 |
金平 永二 金沢大学, 医学部・附属病院, 助手 (10251951)
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キーワード | チミジル酸合成酵素 / 遺伝子多形性 / 翻訳活性 / 繰り返し配列 / 遺伝子クローニング / 試験管内転写アッセイ / 試験管内翻訳アッセイ / 癌化学療法 |
研究概要 |
【研究目的】ヒト消化器癌チミジル酸合成酵素(TS)遺伝子の非翻訳領域に存在する28塩基対を基本構造とする繰り返し配列がTS蛋白の発現に及ぼす影響を明らかにした。 【材料と方法】ヒト大腸癌組織より抽出したTS遺伝子のリピート長(2-6)をPCR法によって確認した。次いで、目的とするリピート長を持つDNAを鋳型とし、リピート領域を挟むプライマーで遺伝子増幅を行った。得られたPCR産物をTAベクターとライゲートさせ、大腸菌にトランスフェクトして既知のリピート長を持つDNAフラグメントをクローニングした。さらに、これらのDNAフラグメントから、制限酵素RbaIとEcoRIでリピート領域を切り出し、full length TS cDNAプラスミド(リピート長;3)を同じ二種の制限酵素で処理し、リピート領域を含むDNAフラグメントを組み換え大腸菌にトランスフェクトして、2から6までのリピート長を持つ各TS cDNAをクローニングした。次いで、各リピート長を持つTS cDNAを用いてin vitro transcription systemによりTS mRNAを作成した。さらに、各TS mRNAからの翻訳活性をin vitro translation systemにて評価した。 【結果】繰り返し配列が2(2R)から6(6R)のTS mRNAを用いたin vitro translation assayの結果、2Rと3R以上との間に有意な翻訳活性の差が存在することが明らかになった。繰り返し配列数が2から3に増加すると翻訳活性のstep upが認められ、それ以上増加しても活性には変化が認められなかった。さらに、TS mRNAにcap構造を付加しても同様の結果であった。 【結語】繰り返し配列を含むTS mRNAの立体構造が翻訳活性に影響を及ぼしている可能性が高い。現在、TS mRNAの立体構造の解明とその形成に関わる蛋白質の究明を行っている。
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