研究概要 |
本研究は、より効果的な癌特異的免疫療法として、我々が胃癌の腫瘍退縮抗原として同定したHER-2/neu由来ペプチドを、抗原呈示細胞であるDendritic cell (DC)とともに移入することによる腫瘍ワクチン療法である。進行消化器癌患者を対象とし、末梢血リンパ球のHLA type スクリーニングにて、HLA-A2陽性患者を選択する。HLA-A2陽性患者のうち、癌組織をanti-HER2/neu monoclonal antibody を用いたLSAB法にて免疫組織染色し、HER-2/neu overexpression が認められた症例を本免疫療法の対象症例とし、現在までに8例に実施した。末梢血100mlより比重遠心法にて単核球を分離し、さらにplastic付着細胞を選択し、IL-4,GM-CSF存在下で、7日間培養。得られた細胞の表面抗原CD81,CD86,HLA-classI,HLA-DRをflow cytometry で検討し、Dendritic cell(DC)の表面抗原を確認する。このDC(1×10_6)に我々が同定したHER-2/neu由来ペプチド(E75)をパルスして、経静脈的に患者に移入する。この移入を1回/週繰り返し計4回実施した。8例全例において、臨床上の安全性に問題はなく、副作用は認めなかった。ワクチン前には認められなかったペプチド特異的CTLがワクチン後に、8例中6例に認められ、DCワクチン療法にともなう免疫誘導が確認された。今後、臨床学的効果、投与方法の検討など行う予定である。
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