2000 年度実績報告書

膵臓移植におけるNKT細胞による糖尿病(IDDM)再発ならびに拒絶反応の制御機序

研究課題

研究課題/領域番号	11671231
研究機関	大阪大学
研究代表者	伊藤壽記大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20231152)
研究分担者	弓場健義大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20294077)
キーワード	全膵十二指腸移植 / インスリン依存型糖尿病(IDDM) / 自己免疫応答 / NKT細胞 / BBラット / IEL,LPL / Th2サイトカイン(IL-4) / RT6+細胞
研究概要	平成11-12年度研究実績ヒトIDDM疾患モデルである自然発症糖尿病BB-DP(diabetic prone)ラットに対して、MHC compatibleであるWFラットの全膵十二指腸を移植すると、平均60日でIDDMの再発(拒絶はみられない)を認めるが、抗接着分子(ICAM-1/LFA-1)抗体を投与することにより、自己免疫応答に対する免疫寛容が成立した。昨年はこの寛容にドナー由来のRT6+T細胞によるキメラが関与し、この分画に免疫調節細胞であるNKT細胞が存在することを示した。同ラットの血清中のIL-4が高値であること、また脾細胞の定量的RT-PCRによるサイトカインメッセージでIL-4が検出されたこと、さらにこのIL-4がFACSによる細胞内サイトカインの解析にて、キメラNKT細胞より産生されていることが確認された。一方、BB-DPラットに対して、MHC compatibleであるが、mH(マイナー抗原)が異なるBB-DRラットの全膵十二指腸を移植すると、平均23日で拒絶反応(IDDMの再発も含まれる?)にてgraft lossとなった。しかしながら、同様の抗接着分子抗体を投与するとことにより、アロ免疫応答(+自己免疫応答)に対する免疫寛容が成立した。脾臓にはRT6+T細胞が出現しているが、そのサブタイプがドナー・レシピエント間で同じであるため、キメラが誘導されているかどうかについては断言できなかった。免疫応答を検討すると、naive DPでは著明な免疫不全を認めるが、寛容が成立したレシピエントでは各種免疫応答の改善がみられた。以上より、我々のモデルにおいて、移植後グラフト膵に惹起される自己免疫応答ならびにアロ免疫応答は、抗接着分子抗体により出現するNKT細胞により制御されていると考えられた。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] M.Tori,T.Ito: "Importance of donor-derived lymphocytes in the protection of pancreatico/duodenal or islet grafts from recurrent of"Transplantation. 70(1). 32-38 (2000)
[文献書誌] M.Tori,T.Ito,T.Yumiba: "IL-4 production in IDDM-non-recurrent pancreas transplanted BB rats with donor derived NKR-P1+TCR α β+Tcells, but not in"Transplant Proc.. 31. 194-194 (1999)
[文献書誌] M.Tori,T.Ito,T.Yumiba: "Significant role of intragraft lymphoid tissues in preventing IDDM recurrence in whole pancreatico-duodenal transplantation"Microsurgery. 19. 338-43 (1999)
[文献書誌] M.Tori,T.Ito,H.Matsuda: "Model of mouse pancreatico-duodenal transplantation"Microsurgery. 19. 61-65 (1999)
[文献書誌] 伊藤壽記,杉谷篤他: "臓器移植法実施後に施行された脳死下膵腎同時移植の1症例"移植. (in press). (2001)
[文献書誌] 鳥正幸,伊藤壽記: "NKT細胞によるTh1自己免疫病の抑制"臨床免疫. 31(6). 717-722 (1999)
[文献書誌] 伊藤壽記: "ミレニアム消化器2000"日本メディカル社. (2001)
[文献書誌] 野澤眞澄,伊藤壽記他: "臓器移植実験マニュアルーラット・マウスを用いた移植虚血再潅流障害モデル"秀潤社. 234 (1999)

2000 年度 実績報告書

膵臓移植におけるNKT細胞による糖尿病(IDDM)再発ならびに拒絶反応の制御機序

研究代表者

伊藤 壽記 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20231152)

研究成果

[文献書誌] M.Tori,T.Ito: "Importance of donor-derived lymphocytes in the protection of pancreatico/duodenal or islet grafts from recurrent of"Transplantation. 70(1). 32-38 (2000)

[文献書誌] M.Tori,T.Ito,T.Yumiba: "IL-4 production in IDDM-non-recurrent pancreas transplanted BB rats with donor derived NKR-P1+TCR α β+Tcells, but not in"Transplant Proc.. 31. 194-194 (1999)

[文献書誌] M.Tori,T.Ito,T.Yumiba: "Significant role of intragraft lymphoid tissues in preventing IDDM recurrence in whole pancreatico-duodenal transplantation"Microsurgery. 19. 338-43 (1999)

[文献書誌] M.Tori,T.Ito,H.Matsuda: "Model of mouse pancreatico-duodenal transplantation"Microsurgery. 19. 61-65 (1999)

[文献書誌] 伊藤壽記,杉谷篤 他: "臓器移植法実施後に施行された脳死下膵腎同時移植の1症例"移植. (in press). (2001)

[文献書誌] 鳥正幸,伊藤壽記: "NKT細胞によるTh1自己免疫病の抑制"臨床免疫. 31(6). 717-722 (1999)

[文献書誌] 伊藤壽記: "ミレニアム消化器2000"日本メディカル社. (2001)

[文献書誌] 野澤眞澄,伊藤壽記 他: "臓器移植実験マニュアルーラット・マウスを用いた移植虚血再潅流障害モデル"秀潤社. 234 (1999)

2000 年度実績報告書

伊藤壽記大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (20231152)

[文献書誌] 伊藤壽記,杉谷篤他: "臓器移植法実施後に施行された脳死下膵腎同時移植の1症例"移植. (in press). (2001)

[文献書誌] 野澤眞澄,伊藤壽記他: "臓器移植実験マニュアルーラット・マウスを用いた移植虚血再潅流障害モデル"秀潤社. 234 (1999)