研究分担者 |
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20291445)
矢野 雅彦 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (70273646)
塩崎 均 大阪大学, 医学系研究科, 助教授 (70144475)
福地 成晃 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
今村 博司 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
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研究概要 |
まず、当科で外科的切除を施行した胃癌症例について、E-cadherin,a-catenin,b-catenin,Tiam1,IQGAP1の免疫組織学的検討を行った。Tiam1に関しては、E-cadherin,b-catenin,IQGAP1の発現及び臨床病理学的因子と相関はみられなかった。IQGAP1については、正常粘膜では、全例細胞膜に局在していたが、高分化型癌では細胞質に、低分化型癌では細胞膜に局在し、これらに有意差が認められた。また、E-cadherin,a-cateninの発現との相関を検討したところ、IQGAP1の局在が細胞膜のものでは、、E-cadherin,a-cateninの発現は減弱しており、細胞膜のものでは、減弱していなかった。これらの間にも有意差は認められた。さらに、臨床病理学的因子との検討を行ったところ、INFとIQGAP1の局在の間に有意差が認められた。また、組織抽出液を可溶性及び非可溶性分画に分け、ウエスタンブロット法による検討を行ったところ、E-cadherin,a-cateninは、非可溶性分画にのみ発現していたが、IQGAP1は可溶性及び非可溶性分画の両方に発現しており、正常粘膜に比して、高分化型では可溶性分画、低分化型では非可溶性分画に多く発現が認められ、免疫組織染色と同様の結果が得られた。胃癌細胞株を用いた検討でも、同様の結果であった。これらをまとめると、胃癌組織において、IQGAP1はその局在によりE-cadherinによる細胞間接着の機能を制御している可能性が示唆された。
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