研究概要 |
1 各種CDDP含有マイクロスフェアー(CDDP-MS)の作成と組織分布 1) CDDP-MSの作成と徐放性の検討 平均分子量が19,000、13,000、6,000のPGLAを用い三種のCDDP-MSを調製し、in vitroの徐放では分子量が大きいほど初期バーストは小さいが、その後の溶出速度はほぼ一定であった。 2) マイクロスフェアーのリンパ節への移行の検討(Wister系雄性ラットを用いた実験) 縦隔内に投与した蛍光剤含有MSは3日後の蛍光顕微鏡にて気管分岐部所属リンパ節内へ移行していることが確認され、一部は蛍光剤含有マMSがマクロファージに取り込まれた後にリンパ節に運ばれ、また一部は溶出された蛍光剤がリンパの流れに乗ってリンパ節に達したと考えられ、マイクロスフェアーのリンパ節への移行が形態的に確認された。 3) CDDP-MSの分子量の差による各臓器の組織移行と副作用の検討 各分子量のCDDP-MS(CDDP力価5mg/kg)の縦隔内注入群とCDDP静注群で、経時的な血中Pt濃度と、縦隔リンパ節、腎臓、脊髄の各組織内Pt濃度(μg)および体重変化の結果では、CDDP静注群は13匹中9匹が死亡し14日目の体重も75%となったが、分子量13000のMSでは最も体重減少が軽微であった。。組織内Pt濃度では各分子量のMSで差はなく、分子量13000のMS群と静注群の比較では縦隔リンパ節で5日目:3.15±0.25,1.41±0.44,14日目:1.96±0.28,0.51±0.72、腎臓で5日目2.94±0.04,11.9±1.84,14日目:3.79±0.62,8.60±2.55、骨髄5日目:0.16,0.66,14日目:ND,NDとなった。 2 CDDP-MSによる抗腫瘍効果の検討(DAラットにFF6腫瘍を移植したモデルによる実験) 皮下腫瘍の周囲に局所注入し、腫瘍の増殖速度は投与量に比例して制御され、CDDP20mg/kg投与群では腫瘍は消失したが、一方CDDP静注群では効果は無く、CDDP10mg/kgでは全例死亡した。
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