研究課題/領域番号 |
11671242
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福本 陽平 山口大学, 医学部・附属病院, 教授 (90136193)
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研究分担者 |
坂井田 功 山口大学, 医学部・附属病院, 助手 (80263763)
村上 不二夫 山口大学, 医学部・附属病院, 講師 (10253155)
立石 彰男 山口大学, 医学部・附属病院, 助教授 (00155102)
萱野 幸三 山口大学, 医学部, 助手 (90314799)
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キーワード | 胆汁分泌 / 胆汁酸 / ケノデオキシコール酸 / セクレチン |
研究概要 |
最近、胆汁分泌、胆汁酸、微小管の関係について新知見が報告されている。まず、肝細胞核内リセプターが胆汁酸やビリルビンなどの膜輸送に関与するNtcpや、Bscpなどの膜タンパクの発現を調節していることが明らかとなり、chenodeoxycholic acid(CDCA)がそのリガンドの一つであることも判明した(BBA1999,1445:154)。また、消化管ホルモンであるsecretinが、胆管上皮細胞の水分泌の調節に関与するチャンネル膜蛋白の発現に介在し、微小管とも関連して作用していることが明らかにされた(Am J Physiol 1999,39:G280)。 そこで、ラットを用いた動物実験により、CDCAあるいはdeoxycholic acid(DCA)の投与が、胆汁分泌機構に与える影響を調べた。さらに、利胆効果のあるsecretinの投与による胆汁分泌量の変化を検討した。その結果、CDCAあるいはDCAの大量投与では、胆汁分泌量は減少し強い肝障害が出現した。さらに、胆汁中への胆汁酸や重炭酸の排泄も明らかに抑制された。ところがsecretinの投与により胆汁分泌量ならびに、胆汁中への胆汁酸や重炭酸の排泄の減少は有意に抑制され、胆汁うっ滞性病変の改善が認められた。CDCAやCDAは細胞障害性のある胆汁酸であり、長期の胆汁うっ滞病変や肝硬変症患者の血中で上昇する。CDCAの増加は、むしろ胆汁分泌には抑制的に作用し、一旦生じた胆汁うっ滞を増悪させることになる。今回の実験結果からは、secretinの投与が病変の改善に有効に作用し、黄疸の治療として応用できると考えられた。
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